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鉄道の旅に欠かせない存在「駅弁」(CHA20号から)

2013年05月26日

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鉄道の旅に欠かせない存在「駅弁」  (M.S.)

鉄道の旅の醍醐味といえばやっばり「駅弁」。車窓からの風景をのんびりと眺めながら、温かいお茶と共に頬張る駅弁は格別です。
日本の誇る食文化のひとつである駅弁。台湾や中国、韓国、シンガポール、ヨーロツパではイタリアなど鉄道駅で駅弁が売られている国もあるのですが、こんなに種類が多く盛んに販売されているのは世界中を探しても日本しかないそうです。

駅弁の始まり
日本の駅弁の始まりは諸説あり、確固たる根拠がないので真相は判明していません。良く言われているのが、1885(明治18)年に栃木県の東北本線・宇都宮駅で塩にぎり飯2個とたくあんを竹の皮で包んだものを5銭で販売していたのが最初だ、というもの。その他、1877(明治10) 年の大阪駅説や、同年の神戸駅説、1883年の上野駅説などもあります。このようにいくつかの説がありますが、鉄道が開通された1872(明治5)年から10数年後には駅弁は登場していたのでしょう。
明治時代から鉄道に乗る人々の空腹を満たしてきた駅弁は時代とともに変化してきました。 明治時代から昭和中期までは鉄道会社から定価の上限が決められており、容器のサイズや入るおかずに至るまで細かく指定されていた時期もありました。明治時代から戦後しばらくまではおかずよりご飯がメイン。現代に比べて昔の日本人は米をたくさん食べていました。時代に合わせておかずや味付けなども変わっていきます。
また駅弁の販売方法も時代とともに変化してきました。 原点と言えばやはり立ち売り。専用のケースを首から下げ、掛け声を掛けながら売り子さんがホーム上で販売します。この掛け声は地域や駅によって特徴があり旅情をかき立てる存在でしたが、現在は車内販売や売店で売るスタイルがメインで、現在も立ち売りが行われている駅は日本中で10駅もありません。停車時間が短くなったことや窓の空かない特急電車が増えたこともその一因と言えます。

駅弁の分類
駅弁の種類は大きく二つに分けることが出来ます。
イカ・カニ・エビなどを使ったものや、鶏めしなど地元で取れる食材をメインにしたり、釜飯など容器にこだわった駅弁を「特殊弁当」。ご飯を中心に焼き物、煮物、卵焼き、漬物などのおかずが入ったいわゆる幕の内系の駅弁は「普通弁当」と呼びます。
デバートの駅弁大会で売られるものや「好きな駅弁ランキング」に入るほとんどは「特殊弁当」で記憶にも残りやすい華やかな人気者。しかし基本中の基本である「普通弁当」も安心感があり、世代を超えて愛されています。どちらの駅弁も食材は地元のもので揃っています。肉や海鮮などおかずに目がいきがちですが、米どころの駅弁は自慢の美味しいお米に注目しましょう。味わうごとに「日本人で良かった!」と思えるはずです。

駅弁とお茶
駅弁に欠かせないパートナーと言えば「お茶」です。駅内でのお茶の販売は1889(明治22) 年に静岡駅で売られたのが始まりではないか、といわれています。昭和30年代頃までは「汽車土瓶」 といわれる焼きものの器に入れて販売されていました。 静岡駅で最初に使われた器は信楽焼きでしたが、益子焼や瀬戸焼、美濃焼など全国各地で生産されたスタンダードな茶瓶から、各地の名物をかたどったユニークな茶瓶もありました。汽車土瓶茶はその後ポリエチレン容器茶に置き換えられ、さらに缶入り茶を経て現在のぺットボトル茶へと移り変わっていきました。

これからの駅弁
時代の移り変わりと共に、変化してきた駅弁。現代ではコンビニエンスストアで気軽に買える弁当やファストフード店が台頭したことにより全盛期に比べ全体の売上が落ちました。 駅弁をやめ仕出し弁当のみに業務を縮小したり、廃業した弁当屋さんも少なくはありません。その一方で東京・大阪など都市部のデパートで開催される駅弁大会はお客さんが列を作り、売り切れが続出するという駅弁人気の高さを物語る光景もあります。この二極化に駅弁業界はどう対応していくのでしょうか?
業界を盛り上げようと駅弁屋さんは様々な工大を試みています。時代に合わせて再利用できるエコ容器を使用したり、無添加にこだわった栄養バランスの良い駅弁など、さまざまなニーズに合わせて新しい製品も生まれています。そもそも地元の食材を活かし、手間ひまをかけて作られた駅弁は「スローフード」と言えます。
九州新幹線全線開通や東北新幹線「はやぶさ」の運転開始などであらためて鉄道に注目が集まっています。鉄道利用者も増えて日本の大切な食文化「駅弁」は今後もさらに進化していくのではないでしょうか。
皆さんも今年の夏休みは駅弁目当ての鉄道の旅はいかがですか?

駅弁ミニ雑学

4月1日は駅弁の日
弁当の「弁」の字が、洋数字の「4」と漢数字の「十」の組み合わせに見えることから、日本鉄道構内営業中央会が1993(平成5)年に制定しました。JRが発足したのが4月だったことにも関係がぁるようです。

最北端と最南端の駅弁
日本最北端の駅、宗谷本線・稚内駅で販売されているのは「最北駅弁・帆立」。ご飯の上に大きな帆立がのっており、北海道の海の幸を存分に味わうことが出来ます。
一方、最南端の駅弁は那覇のゆいレール壷川駅から数分の売店で売られている「海人がつくる壷川駅前弁当です。駅構内で売られていないので、正確には駅弁とは呼べないかもしれませんが、沖縄名物のアーサやもずくの天ぶらが入ったこのお弁当、一度味わってみたいものです。

一番高い駅弁は?
全国の平均は700~800円と言われている駅弁。東京・大阪などでは1000円を超えるものも珍しくありませんが、ローカル線では1000円を超えるものは少ないです。
そんな中、まさに高級弁当といえる日本一値段の高い駅弁は松坂駅の「極上松坂牛ヒレ牛肉弁当」でなんと1万5000円! 2位は金沢駅の「加賀野立弁当」でこちらも1万円。 どちらも予約制で敷居も高く、お財布にも優しくはありませんが、お祝いや記念日に思い切って注文してみるのもいいかもしれません。

大人気!京王百貨店の「駅弁大会」
全国に数あるデパートの催事の中でも根強い人気を誇るのが東京新宿の京王百貨店で開催される「駅弁大会」です。「第1回有名駅弁と全国うまいもの大会」は1966(昭和41)年に開催され試行錯誤を繰り返した後、安定した人気を誇る名物催事となっていきました。 今年1月には第46回が開催され、例年にも増して大盛り上がりとなりました。


【参考文献】
『駅弁学講座』集英社新書
林  順信・小林しのぶ
『=ツポン駅弁大全』文藝春秋小林しのぶ

 

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