• アーカイブ

CHA

【CHA3号より:データファイルなぜ?】 「みそ汁は1日1杯に」の疑問

2012年04月23日

このエントリーをはてなブックマークに追加
はてなブックマーク - 【CHA3号より:データファイルなぜ?】 「みそ汁は1日1杯に」の疑問
Share on Facebook
Post to Google Buzz
Bookmark this on Yahoo Bookmark
Bookmark this on Livedoor Clip
Share on FriendFeed

                                  藤浪成昭 (2005年2月発行CHA3号より)

味噌の機能性に関する研究は、肝臓癌や胃癌、乳癌の予防効果、血圧低下作用、脳卒中予防(大豆)、血中コレステロール値の改善、活性酸素の消去と老化制御機能、骨粗鬆症予防、放射性物質の除去などのほか、大豆アレルギーをもたらすアレルゲンが、味噌の発酵過程で分解されることも明らかになっています。
しかし、このような成果も「高塩食品」の一言でかき消されそうになってしまうのが味噌の辛いところで、時々、「みそ汁は1日1杯にしましょう」といわれたりもします。
1979年(昭和54年)、厚生省は脳出血や胃癌予防の観点から食塩の目標摂取量を1日10g以下と定めました。当時の平均摂取量は13gでした。1987年には11g台となりましたが、その後再び増加して現在では13g前後に戻っています。

塩分と疾病の因果関係
問題は減塩が胃癌や脳出血を予防するのか、いいかえれば、塩分摂取が増えればそれらの疾病が増加するのかどうかです。
浜松医科大学の高田明和名誉教授は食塩の摂取量の影響には「個体差があり、一律的な減塩によって、私たちが健康上受ける利益はほとんどなく、むしろ不利益をこうむっている場合さえ想定される」と説いています(“みそサイエンス最前線”第2集所収)。
その根拠として、
①日本人の食塩摂取量が11g台から13gに増えたことによって、今後、胃ガン死亡率が上昇するという予測ができるだろうか
②米国の10年間の調査で、食塩を1日4.5g摂取している群と1日1gに控えている群を比較すると、心臓病死亡率も全体の死亡率も1g群の方が高かった
③高血圧症の90%以上を占める本態性高血圧の3分の2(食塩非感受性)はかりに食塩を10g余計に摂取しても血圧が上がることはなく、控えても下がらない
④食塩を摂りながら動物性タンパク質を豊富に摂ると血圧の上昇は抑制される(図参照)
ことなどを挙げています。

 

食生活指標は変わった
東京大学医学部の藤田敏郎教授は「食塩摂取量が同じでもカリウム(K)やマグネシウム(Mg)摂取量の多寡で血圧への影響が異なる」ので、「Na/K比(3.0以下)やCa/Mg比(2.0以下)を指標として食生活の善し悪しを判断すべきだという考え方に変わってきた」と書いています(“みそサイエンス最前線”所収)。

KはNaを体外排泄し、MgはCaの細胞内流入を抑制します。Kは野菜や果物、イモ類などに多く含まれ、Mgは海藻やナッツ類、納豆などの大豆製品、二ガリ(自然塩)などに多く含まれています。
みそ汁1杯の塩分量は1.5g程度ですが、それも野菜やイモ類、海藻などの具を加えることによって条件が変わってくるということです。
藤田教授は「みそ汁の摂取量を減らすことによる高血圧症の予防効果ははなはだ疑問」で、「Mg欠乏を助長する危険」さえあると指摘するとともに、「日本の伝統的な食生活のなかで果たしてきた(みそ汁の)機能を見直す必要がある」と説いています。

Comments

No related posts.